労働災害をなくし、労働者の安全と健康を確保し、安心して働ける環境をつくるためには、政府・事業者・労働者など関係者それぞれが役割を果たすことが重要です。
政府は、2023年4月~2027年3月の5年間を対象とする「第14次労働災害防止計画(通称:14次防)」を策定しました。労災発生状況に応じた重点対策などが盛り込まれたこの計画では、「働くことで生命が脅かされたり、健康が損なわれたりするようなことは、本来あってはならない」という意識を関係者すべてが共有し、責任ある行動を取ることが求められています。
事業者は、法令順守を徹底し、職場内の労働安全衛生活動を通じて、労働災害をなくしていくことが求められています。
一方、労働者自身も職場の安全・健康の確保に取り組み、事業者による労働安全衛生活動に主体的に参加していくことが大切です。さらに、労働組合も政労使の連携を通じて、職場の労働安全衛生水準を向上させ、安全文化をつくっていく必要があります。
厚生労働省が2023年5月に発表した「令和5年 事故の型別労働災害発生状況(確定値)」によると、死亡者数は774人であり減少傾向を維持しているものの、休業4日以上の死傷者数は132,355人であり、近年は増加傾向となっています。
第14次労働災害防止計画では、死亡災害を5%以上減少、死傷災害は増加傾向に歯止めをかけて2027年までに減少させることを目標としました。目標達成のためには、職場における転倒・腰痛災害の防止や、今後増加が想定される高年齢労働者に対する安全対策の推進など、更なる取り組み強化が求められています。
連合は、労働組合が自らの職場における労働安全衛生対策を推進するため、政府の「第14次労働災害防止計画」も踏まえた 「連合労働安全衛生取り組み指針(2024年度~2027年度)」を策定しました。この指針には、職場における安全対策の取り組みに加えて、長時間・過重労働やメンタルヘルス不調防止、高年齢労働者の労災防止対策、個人事業者等への安全対策促進などを盛り込んでおり、職場で直面する様々な労働安全衛生に関する課題の解決に向け、労働組合が積極的に取り組んでいくよう呼びかけています。