日本の企業内における能力開発などの人的資本投資は、国際的に比較しても低位にある状況の中で、今後の社会変化に対応し、労働者のスキルアップやキャリアの向上を図るためには、「人への投資」をより一層拡充していくことが求められます。
※「経済産業研究所・一橋大学「JIP 2021データベース」、INTAN-Invest、EUKLEMSINTANProdより、みずほリサーチ&テクノロジーズ作成」資料を引用
労働者の能力開発は、労働者の技術・技能の向上や、その後のキャリア形成に資するものであることからも、企業の責任において、自社の経営ビジョンや人材育成方針等を踏まえた形で実施されることが重要であり、具体的な教育訓練プログラムや、そのための環境整備に関して、労使で協議して推進することが必要です。
一方、雇用形態の違いや多様な事情によって、教育訓練機会の提供に差が生じることがあってはなりません。非正規で働く労働者や障がいを抱える者などを含めて、誰もが希望する教育訓練を受けることができるように、企業労使の取り組みを促すだけではなく、国による支援を講じて、能力開発全体の底上げを図る必要があります。
※令和3年度能力開発基本調査(厚生労働省)より連合作成
また、中小企業においては、時間面・人的面・財政面などの制約や、人材育成や能力開発に取り組むためのノウハウが不足しているなどの課題もあることから、国による財政的支援をはじめ、(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)などの訓練機関によるノウハウ共有の支援などを充実させることが必要です。
企業内のすべての労働者の能力開発を推進するためには、人材育成方針の明確化をはじめ、能力開発機会の確保にむけた教育訓練休暇制度の創設、教育プログラムの充実などについて、労使で協議し、整備することが重要です。また人材定着を図る観点からも、労使において、得られた技術・技能に見合った処遇や待遇の改善やキャリア形成支援の充実について協議していくことが求められます。
2022年6月には、厚生労働省「職場における学び・学び直し促進ガイドライン」などが策定されましたが、そのガイドライン等を活用し、目的や趣旨を踏まえながら、職場における能力開発・学び直し(リスキリング)、リカレント教育などを総合的に推進しましょう。
連合は、雇用形態等にかかわらず、すべての労働者のスキルやキャリアの向上に資する人材育成・能力開発などのプログラムや環境整備の支援策の充実にむけて、引き続き取り組みます。