雇用保険は、「失業等給付」「雇用保険二事業」「育児休業給付」で構成されており、労働者が失業・休業した場合や、職業に関する教育訓練を受けた場合などに給付され、雇用されて働く人すべてのセーフティネットとして機能しています。
コロナ禍においては、制度の要件の緩和や支給額の引き上げなどの各種特例措置が講じられており、そうした措置の今後のあり方や、給付額が増大したことに伴う財政の再建などが課題となっています。
連合は、雇用保険制度が将来にわたり労働者のセーフティネットとして機能していくよう、政策要請・審議会対応・労働運動などに取り組んでいます。
雇用保険 | |||
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失業等給付 | 雇用保険二事業 (雇用安定事業・能力開発事業) |
育児休業給付 | |
目的 |
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給付の例 | 基本手当、教育訓練給付金、高年齢雇用継続基本給付金、介護休業給付金 | 雇用調整助成金、休業支援金、産業雇用安定助成金、人材開発支援助成金 | 育児休業給付金 |
財源 |
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主な論点 |
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<失業等給付の国庫負担の見直し(2022年改正)>
2022年3月には、「育雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立し、失業等給付の国庫負担割合の見直しとあわせて、新たな国庫繰入制度の導入等が講じられました。これにより、国庫負担割合が実質的に低位に据え置かれることとなるため、連合は、雇用保険制度発足時の水準(1/4)に戻すべきであると考えています。
2021年度 |
1/40 (25%×0.1%=2.5%) ※本則(=原則):1/4(25%) |
2022年度以降 |
①雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合:1/4 ②上記以外の場合:1/40 ③一定の要件のもと、①または②と別枠で、機動的に国庫からの繰り入れができる新たな国庫繰入制度を導入 |
法改正の議論においては、国庫負担割合の見直しとあわせて、将来的にこれまでの原則(1/4)に戻すことも含めて検討する旨が留意事項として決議されています。
雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(参議院厚生労働委員会)【抜粋】 |
社会保障関係費に現在位置付けられている失業等給付の国庫負担について、従来の国庫負担の位置付けについての基本的な考えを堅持した上で、負担割合を将来的に従来の本則の水準(1/4)とする措置も含め、国の財政・財源の構造から検討すること。 |
※法改正時の議論の内容については、以下の特設ページをご覧ください。
「わたしたちの雇用保険制度を守ろう!」(2022年1月~3月)
<育児休業制度の柔軟化に伴う給付の整備(2021年改正)>
2021年6月には、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び雇用保険法の一部を改正する法律」が成立し、出生時育児休業の創設や育児休業の分割取得が可能となることとあわせて、出生時育児休業給付金の創設や育児給付金の支給回数の拡大措置等が講じられました。
<複数就業者に対するセーフティネットの整備・拡充(2020年改正)>
2020年3月には、「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立し、多様化する就業ニーズに対応したセーフティネットを整備するために、65歳以上の短時間複数就業者への雇用保険適用等の措置が講じられました。