社会保障は、人々が安心して暮らすための大切な仕組み。中でも年金は、老後や障がいなど万が一のときに生活を支える、貴重な収入源となります。
日本では学生も含め原則20歳を過ぎると国民年金に加入します。そして会社や役所などに勤めるようになると厚生年金が適用されます。厚生年金が適用されることにより、基礎年金のみ支給される国民年金の加入者と比べ、受給額が多くなります。そのうえ、保険料の負担は事業主と折半となります。
ところでこの厚生年金、適用されるのは正社員や契約社員だけだと思っていませんか?実は一定の条件を満たせば、パートタイマーやアルバイトでも適用されます。
週の所定労働時間および月の所定労働日数が同じ事業所で同様の業務に従事している一般社員の4分の3以上の場合に適用されます。
この条件に当てはまらない場合であっても、以下の(1)~(5)のすべての要件を満たせば適用されます。
(1)~(5)のすべてを満たす必要がありますが、「自分も当てはまる」という人は意外と多いのではないでしょうか。厚生年金への適用手続きは、勤め先の会社を通じて行います。また、この条件は健康保険にも当てはまります。国民健康保険から協会けんぽや会社の健康保険組合に切り替えることで、傷病手当金、出産手当金を受け取ることができます。
つまり、働く者にとっては国民年金や国民健康保険よりも負担は少なくて済み、手厚い保障が受けられることになり、万が一の場合も安心の度合いが高まるわけです。
しかし現実は、このような適用条件があるため、1000万人以上の労働者が厚生年金に適用されていないとみられます※2。また、雇用類似の働き方をする個人事業主も適用されていません。もし働く人みんなが厚生年金に適用されて保険料を払えば、働く人自身にメリットがあるだけでなく、年金財政も健全になることで将来世代の安心も大きくなります。
連合は、企業規模や働き方にかかわらず、すべての労働者に社会保険が適用されるよう、適用条件の大幅な見直しを求めています。
※2 企業規模(個人事業所を含む)や働き方にかかわらず、賃金月額5.8万円以上のすべての労働者を適用対象にした場合の推計(厚生労働省社会保障審議会年金部会資料より)