ディスカッション企画エリアの様子
連合は、11月30日「フリーランスサミット2024」を東京都内(オンライン併用)にて開催し、構成組織や地方連合会、関係団体、フリーランスなど253名が参加しました。
本サミットは、フリーランス法や労災保険の特別加入制度の対象拡大など、フリーランスと、フリーランスとともに働く人たちにとって、大きな変化が訪れていることを踏まえ、「Be Proud 仕事・新時代」をキャッチフレーズに、フリーランスの抱えている課題・実態を捉え、多方面の様々な立場の人の知見を集約し、課題解決に繋げていくことを目的に開催しました。
サミット冒頭、本年10月に逝去された西田敏行さん(フリーランスサミット2023にVTR出演)に参加者全員で黙とうを捧げました。続いて主催者を代表して清水秀行事務局長は、「11月1日にフリーランス法が施行されたが、まだまだ課題はある。連合フリーランス労災保険センターに寄せられる声を社会に発信し、一人ひとりが輝き、誇りと自信をもって働ける環境を作っていきたい」と述べました。
会場では、ディスカッション企画と交流企画ブースに分かれ、参加者がそれぞれに参加しました。
【ディスカッション企画】
1.ディスカッション①「フリーランス法と労災保険の適用拡大」
<登壇者>
小池アミイゴ氏(イラストレーター)、西村淳一氏(デザイナー)、菅山りんだ明美氏(株式会社ハッピーエンジン 代表取締役)、武田雅弘氏(公正取引委員会事務総局 フリーランス取引適正化室長)、松永久氏(厚生労働省 労働基準局 労災管理課長)、川嶋秀生氏(労働組合福祉協会 理事長)、漆原肇(連合 労働法制局局長)
<コーディネーター>
北野眞一(連合 副事務局長)
<要旨>
管轄省庁担当者からフリーランス法の重要なポイントと、実際に現場で働くフリーランスの方から、買いたたきや著作権侵害、発注事業者の立場が強く契約締結が難しい関係性など切実な声が報告されました。また、フリーランス法施行と同時に開始となったフリーランス全業種での労災特別加入の経緯についても案内し、連合が設立した「連合フリーランス労災保険センター」と「フリホケ」労災保険について紹介しました。
2.ディスカッション②「曖昧な雇用にNO!つながりたいフリーランス応援!」
<登壇者>
ダンカン・クラブツリー=アイルランド(全米映画俳優組合<SAGAFTRA>全米理事)、菅俊治氏(弁護士)、池水通洋氏(日本俳優連合 代表理事)、アマゾン配達員組合横須賀支部 支部長
<コーディネーター>
河野広宣(連合 総合組織局長)
<要旨>
偽装雇用の問題、実際は雇用労働者なのに、待遇だけフリーランスの扱いになっている事例について、その実態と連携や組織化の重要性についてお伝えし、組織化では世界トップクラスである、全米俳優組合理事のダンカン氏に、アメリカのフリーランスを取り巻く環境や課題、昨年の大きなストライキの経緯についてお話をお聞きしました。
3.ディスカッション③「対等な関係性を反映した標準契約書締結と適正報酬」
<登壇者>
呉学殊氏(独立行政法人労働政策研究・研修機構 特任研究員)、菅俊治氏(弁護士)、 中里浩氏(東京経済大学現代法学部 教授)、土屋学氏(日本音楽家ユニオン 代表運営委員)
<コーディネーター>
村上陽子(連合 副事務局長)
<要旨>
事業者とフリーランスが対等な関係で団体交渉をすることが難しい日本の現状において、効果を発揮するであろう標準契約書に着目し、これまで適正に契約を結ぶ文化が根付かなかった歴史や価格転嫁の概念が、フリーランスの報酬交渉にまで根付かなかった背景について振り返るとともに、先行している韓国の事例や、契約交渉の中で重要となる報酬について、価格転嫁の考え方をどのように取り入れるべきかについてディスカッションしました。
【交流企画】
ディスカッションブース開催の傍ら、「連合フリーランス労災保険センター出張サービス」、「生成AIと著作権を考えるクリエイター交流会」、「映画業界で働く女性たちの現在」の3つのブースを展開し、参加者同士が自由に意見交換を行いました。
最後に春田雄一 連合総合運動推進局長が、「課題解決に向けて声をあげること、また横のつながりが大事だと改めて感じた。フリーランスを含むすべての働く仲間が安心して働けるよう引き続き取り組みを進めていく」と締めくくり、閉会しました。